検診と知識

ここ数年、医療からの啓発の効果で肘痛などで早期のうちに病院を受診するようになり、ひどい肘の離断性骨軟骨炎はほぼいなくなりました。また、診断や手術を含めた治療の進化により、肘障害はほぼ野球に復帰できるようになりました。

たしかに手術に至る例はありますが、他のスポーツに多い膝前十字靱帯断裂や肩の脱臼の手術などと比べても、野球の肘障害が特別にこどもたちの未来を潰すようなものでは無くなりました。

野球肘検診の費用負担の問題、医療者の休日ボランティアの問題なども踏まえると、指導者ライセンスやメディア、SNSなどを通じて関係する大人のみなさんに必要な情報をお伝えすれば良いことだと考えています。

一方、腰椎疲労骨折を早期に見つけられないために分離症になってしまう例や、胸郭出口症候群の診断がつかず、悲しい思いをしている選手が多く来院されています。

関係する皆様。繰り返しになりますが、選手たちが腰痛を訴えた場合、腰椎疲労骨折を疑って疲労骨折を描出可能なMRIを撮像する医療機関を早めに受診されてください。また、肩や肘が痛いという選手がいた場合、胸郭出口症候群も含めて診てくれる医療機関を受診されてください。いづれも、発症早期であれば治癒の可能性が高いものですか。

すなわち、現場のみなさんの知識向上で、選手の医療問題のかなりの部分は改善することでしょう。