柔軟性の評価について 〜当院での取り組み〜

武蔵小杉のベースボール&スポーツクリニックです。
当院では、関節や筋肉の不調の背景にある身体の状態をより正確に把握するため、柔軟性の定期的な評価を行っています。
日々の診療の中で、
- 肩こり
- 腰の張り・重だるさ
- 膝の動かしにくさ
といった症状のある方の一部で、身体の硬さが一因となっている可能性がみられることがあります。
そこで当院では、患者さんご自身がより状態を理解しやすいよう、柔軟性を以下の指標で「見える化」しています。
■ 柔軟性の可視化(スコアリング)
- 100点満点での柔軟性スコア
→ 現状の柔軟性を直感的に把握できます。 - 同年代比較が可能な偏差値表示(現時点では参考値)
→ 自分の状態がどの位置にあるのかを把握しやすくなります。
これらの指標は、治療方針を決める際の参考として活用しています。
■ 当院で行っている9項目の柔軟性テスト
当院では、主要関節まわりの動きを包括的に評価するため、9項目の柔軟性テストを行い、データを継続的に収集しています。
現時点の傾向としては、
40〜60代では胸郭(肩甲骨周囲)や胸椎伸展(背中を反る動き)の柔軟性が低下しやすいという結果がみられています。
※年齢・生活習慣・個人差により大きく異なるため、あくまで参考値として扱っています。
■ 柔軟性と運動器の不調について
柔軟性の低下は、関節の可動域やバランスに影響し、慢性的な痛みや負担の偏りの一因となる可能性が示されています(1)。
また、スポーツ活動では、柔軟性や可動域の変化が下肢痛やスポーツ障害との関連があるとされる研究もあります(2)。
ただし、
- 筋力
- 運動量・生活習慣
- 年齢・疲労などの全身状態
これら複数の要素が組み合わさって不調が生じるため、柔軟性だけで症状の原因が決まるわけではありません(3・4)。
■ 当院における柔軟性評価の位置づけ
当院では、柔軟性テストを
- 身体状態の把握
- 不調の背景を整理するためのスクリーニング
- 再発防止やコンディショニングの参考指標
として活用しています。
評価結果は、
「どこに負担がかかりやすいか」「どの部分をケアすべきか」
といった治療方針の検討に役立ち、必要に応じてストレッチ・筋力トレーニング・日常生活の工夫などを提案しています。
■ おわりに
柔軟性は、普段の生活では気づきにくい身体のサインを知る手がかりの一つです。
ご自身の身体の特徴を知ることで、より適切なケアや負担軽減の方法を見つけるきっかけになります。
興味のある方は、診察時にお気軽にご相談ください。
参考文献
1)de la Motte SJ, et al. Systematic review of the association between physical fitness and musculoskeletal injury risk: Part 3. J Strength Cond Res. 2019;33(6):1723-1735.
2)Willy RW, et al. Do alterations in muscle strength, flexibility, range of motion, and alignment predict lower extremity injury in runners? Sports Med. 2019;49(2):349-365.
3)Masic S, et al. Musculoskeletal Risk Factors as Predictors of Injury in Community-Dwelling Adults: A Prospective Study. BMC Musculoskelet Disord. 2014;15:310.
4)Masic S, et al. The Benefits of Static Stretching on Health: A Systematic Review. J Phys Act Health. 2025;22(1):45-56.
