おとなとジュニアのからだは同じではない
ベースボール&スポーツクリニックの理学療法士、石貫です。
今回は「おとなとジュニアのからだは同じではない」というテーマでお話しさせていただきます。
まず、おとなとジュニアではからだの構造的な違いがあります。肘を例にすると、ジュニアには内側上顆二次骨化中心という骨が存在し、その周囲を軟骨が取り囲んでいます。軟骨はその字のとおり柔らかい骨なので、硬い骨と柔らかい骨が狭い場所にあるとその境界部にストレスが集中し、壊れやすいという構造があります。
また、「骨と神経と筋肉の成長の度合いがアンバランス」という違いもあります。末梢神経伝導速度は、4歳になるとおとなとほぼ同じスピードになっています。しかし、筋肉は20歳、骨は15歳でそれぞれおとなと同じサイズになります。車に例えると、アクセルワーク(神経)はすでにスポーツカーと同じですが、タイヤやシャフト(骨)、エンジン(筋肉)は軽自動車というアンバランスな構造になっています。
日々のリハビリテーションの中で、少年野球をされている患者さまにシャドーピッチングをしてもらう機会がありますが、その際、全力で腕を振ってシャドーをする姿を見かけることがあります。
実際に、私自身も野球をやっていた中で「常に全力で投げることでより速い球が投げられるようになる」という指導を受けた経験がありました。
しかし、ジュニア選手のからだは、先述したとおり、骨も筋肉も未熟なため「全力投球」による障害リスクが大きくなります。
障害リスクを抑えながら技術力を高めるためにも、全力投球をなるべく控え、8割程度の力でシャドーピッチングやスローイングをすることをおすすめします。
当院では、リハビリテーションのなかで投球強度を含めたフォームに関するご相談もお受けしておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。